「禍福はあざなえる縄のごとし」と言うように、ずっと悪いことばかりじゃない
いつか必ず、いい芽が出る
要はツキが落ちたときに、悲観してはいけないということだ
「何をやってもうまくいかないときも必ずあります。そうした局面で何をしたか、どう対処したかによって、その後の局面が大きく変わります。ツキのないときに『俺は運が悪い』と思ってもなんの益もありません。むしろますます深みにはまり、本当にだめになってしまうでしょう。そんな場合には、じっと辛抱してもちこたえていれば、不思議と運が開けてくるものなんです」
大社は語る。「何か新しい仕事をはじめるに当たっては、そのとき、ツキまくっている人間に担当させます。彼ならうまくいきそうだという人間にね。野球の三原脩さんも監督時代、代打を出すときにはベンチを見回して、運のよさそうな選手を指名したそうです。
しかしツキのない人間はだめかというと、そんなことはない。いまひとつ運がないなと思える社員は、他の仕事をさせて待ちます。私はみんなによく言うんです。私は運がいいんだから、私と一緒に仕事をするみんなも運がいいに決まっている」
大社には、運が味方してくれている、という確信のようなものがあったようだ。確かに大社の日本ハムは、創業してから波に乗って、株式上場、合併そしてプロ野球のオーナーとまさに運がついて回った会社といえよう。
【プロフィール】
大社 義規(おおこそ・よしのり)1915年生まれ。
二十七歳で独立し徳島で始めた小さな町工場を日本一のハムソーセージ会社に育てた。そして最後は、プロ野球の日本ハムのオーナーになる。