私は自分の脳ミソを
百パーセント使います
だから死ぬときには
ゼロになっていますよ
「わしは自分であみ出した経営学であり、経営哲学であるから死ぬまでに全部使ってカラになってしまいます」。さすがにテレビドラマ「どてらい男」の主人公になっただけあり独立独歩を山本は強調する。
「山善」という会社は機械工具の大手専門商社であり、山本が十三歳で丁稚奉公しそこで感じ学んだものをフルに活かし昭和二十二年創業の会社である。山本は「三力主義」を部下に要求する。三力とは思力、体力、努力である。
「点数を取るための勉強じゃなくて、自分自身が逞しく生きていくための勉強をし、激しい経済活動に耐えるだけの体力を自ら作り、そして現状に甘んずることなく明日のために努力していくこと」が三力主義である。
「自主独立ですからね、われわれの考え方は、他の協力は求めても、いっさい依存はしません。社員にも言っています。君たちの協力は求めるが依存しないと。山善の社員一人一人も自分の将来というものは会社に依存するな、将来は自分自身で築き上げていくものだ」
ただきあげの「モーヤン」らしい力強い言葉である。
現代のベンチャーの企業家諸氏も「どてらい男」モーヤンの生きざまに学びたい。
【プロフィール】
山本 猛夫(やまもと・たけお)1921年生まれ。
昭和のテレビドラマ「どてらい男」(花登筺原作)のモデルとして一躍有名となる。苦労人のたたきあげ企業家。