われわれは旅行者に温かい人情を提供してあげたい
真心こめてもてなしてあげようではないか
筆者は産業能率大学の講師をしていた時、管理者向けの二泊三日の公開セミナーを月に三コース担当し、そのほとんどは「成田ビューホテル」を会場にしていた。講師も受講生達も箭内の思想が浸透していたビューホテルのサービスに満足し常に活用したものだ。
「温かい人情を提供したい」と箭内は語っていた。
「私は、大自然に接してその美しさに感動はする。この自然にどんな工夫を凝らしたら多くの人に楽しんでもらえるか、そんな思いが先に立つ。採算よりもこの自然を生かして、自分の夢を果たしてみたい。ここに理想郷をつくってみたい。」これが箭内のホテル作りへの想いである。
「われわれは旅行者に温かい、人情を提供してあげたい。お客様に、真心を込めてもてなしをしてあげようではないか。それがこの職業を選んだ私たちの使命というものだ。これはホテルマンの義務と言ってもよい。自分の義務を立派に果たした時に、われわれは初めて人の満足を得ることができる」
「私は、君たちの心温かいサービスがすべてのお客様に満足を与え、感謝され、そのことを君たちが素直に誇りに思うようなそんな職業人になってほしい」と社員教育で語っている。まさに箭内のサービスに対する想いが伝わってくる。
【プロフィール】
箭内 源典(やない・げんてん)1915年生まれ。
那須の「小松屋」旅館五十七代目。那須ビューホテルを建てたのを皮切りに、近代的ホテルを次々と開業、個性豊かなホテル作りを目指し活動した。