困難は、
我々の愉快を鼓舞し
増長させるために来るものである
東大の「安田講堂」を寄付したことで有名な、安田善次郎の語録を紹介する。
「人間の知力能力はいわば玉のようなもので、磨けば磨くほど光が出る。またあるいは草むらの中に一弾の火のようなもので、逆風が来てこれを吹けば次第に炎を起こし、ついには大火ともなる」
安田はさらに掘り下げる。この語録は筆者も大好きである。
「生気の盛んな木は爆風のために枝を折られ幹を揺すられれば、ますますその根を広げて新しい枝を一層茂らせるように、人間も困難のために苦しめられるほど益々堅実に完全に進歩発展していくのである。このように困難に出会った当時は苦しいに違いないが、ここを切り抜けさえすればそのあと愉快は実に大なるものである」
「困難に出遭った苦痛の大なれば大なるほど、それを切り抜けた後の愉快は大なるものであるから、一時の苦痛のために困難を厭うことは決してないのである。要するに人生に於ける困難は、我々の愉快な生活を妨げるために起こってくるものではなく、実は我々の愉快を鼓舞し増長させるためにくるものである」
愉快とは=「はればれとして楽しく気持ち良いこと」 (国語辞典より)
【プロフィール】
安田 善次郎(やすだ・ぜんじろう)1838年生まれ。
銀行や保険をはじめ、様々な日本を代表する企業をつくった大事業家。立志伝中の人物ではあるが最後は大磯の別邸で刺客に暗殺されてしまう。