私が若人に望むことは、
“私心を離れよ。
 そして大志を持て”ということだ


筆者はカルピスの幹部研修に通っていた時、三島の書いた「初恋五十年」に出会い、私はすっかり三島のファンになった。三島海雲が寺の息子で十四歳まで修行をしていたということが、千二百日行者である私は身近に感じたものだ。
また、三島の語る「国利民福」という四文字には今でも〝共感共振〟し切っている。これは「国の利益と民の幸福を常に考えて事業を行え」というものだ。

三島は若者に訴える。「〝私心を離れよ。そして大志を持て〟ということである。 人間である限り、欲望のないものはいない。だがその欲望は、小さな私欲ではなく、もっと大きく、国家、社会に利福をもたらすような欲望を持つことである」
「有意義なことを始めたら、必ず金のこととか、食べることの心配はいらなくなる。給料の多い少ないなどに汲々とするな。自分の生活がどうとかいう卑屈な考えは捨てよ。若い人は大志を抱き、理想に向かってまっしぐらに努力することだ」
「私は恩師に学んだ。『まず朝起きて読むべき本は、精神の糧となる書物がよい』その教えを実行している」と語る。

三島の座右の銘は「人の短を這うなかれ。己の長を説くなかれ。人に施しては謹んで、念うなかれ。施を受けては謹んで忘るるなかれ」である。


【プロフィール】
三島 海雲(みしま・かいうん)1878年生まれ。
モンゴル人の体力があるのはあの〝白い汁〟を飲んでいるからだと思い皮袋に入れ持ち帰り、「国利民福」の精神のもと八年半の歳月をかけてカルピスを開発する。