ただ安いというだけではいけない
安いというイメージを多くの人に与えながら、いかに経営効率を高めていくかがポイントになる
「どうせ商いをやるなら、どでかいことをやってやろう。それも人のやらないこと、やれないことに挑戦してみよう」
薬ヒグチの特徴というと、ビックストアが大型店舗にチェーン展開を進めるのに対し、三十平方メートル前後というミニ店舗のチェーン化作戦をとった。
そして『目標四百二十七店!』といったスローガンを社長自ら白衣姿で画面に出てテレビCMで威勢良くぶち上げた。長期経営目標を売上高より店舗数に置いたわけである。
薬品業界は、メーカーの圧力が強く、薬局・薬店は頭が上がらない時代のことだ。
「メーカーに流通市場をがっちりとおさえられていては、一般へのサービスもできない……なんというっても薬局を経営していくメリットがない。だれもやらないのなら、自分の手でやってやろう」と考えた。
なぜ「四百二十七店舗」かというと当時全国の薬局は約四万二千七百あったので、その一パーセントの四百二十七店を達成すれば価格決定権が得られると考えたようだ。
一般の消費者からは喜ばれたが、業界からは「ヒグチの乱売屋」とよばれ妨害も受けた。しかし、樋口は怯むことなく「初志貫徹」の快進撃を続けた。
【プロフィール】
樋口 俊夫(ひぐち・としお)1925年生まれ。
白衣を着て「目標四百二十七店」というテレビコマーシャルで有名となり、薬品業界に風を起こしたユニーク社長。